終幕確実なら自宅に連れて帰ろう

2019年12月、アメリカではインフルエンザで多数の死亡が報道されてましたが、日本はコロナ騒ぎが始まる前でもしたが、隣接市の総合病院は感染対策がとられていました。ご主人危篤の知らせは奥さんに入っているようですが、逢わせて貰えない――、きっと最後まで逢わせて貰えないだろうから、その時は自宅に連れて帰ってあげたいのでお願いします。

翌日、逝去の一報が入り集中治療室までお迎えに行くが家族の姿は見えない。地下まで降り、安置室まで行くと奥さんと息子さんが待っており自宅まで搬送します。自宅に到着すると布団に安置、ドライアイス処置、末期の水をとり、線香を供え、死亡届出書の記入と葬式の打合せ――、
「ところで霊安室で待ってたけど、最後は逢わせて貰えたの?」
「ううん、最後だからお願いって言ったけど、ごめんねと言われ逢わせて貰えなかった」
「そうなんだぁ、我々は集中治療室に入れても、家族は駄目なんだね」
「うん、きっと駄目だろうと思ったから自宅に連れて帰りたかったんだよね」

70代の奥さんは最後まで逢わせて貰えない予測はしてたようです。病院としたら、もし家族からインフルエンザ感染や、まだ少数でしたがコロナ感染が出たら病院がパニックになると判断しての対処でしょうから、冷たいようだけど、仕方ないとも、当然とも思える対処です。

2020年12月14日感染者27,757人、コロナ感染で騒いだ4月29日感染者9,198人の3倍です。多分1月~3月4月くらいまでがピークでしょうから、病院、施設の面会対応は更に厳しくなるはず、逝去前は勿論、逝去後も院内では逢えない覚悟をする必要があります。なら近々の余命宣告を受けてる対象者、現在意識の無い対象者は次の方法を一考してみる価値はあるでしょう。

『終幕間近の対象者』
退院し自宅に連れて帰り、死亡診断書を書いて貰える自宅介護専門(治療はせず看取る)の医師に依頼する。家族は大変ですが看取りもできるし、最後の最後まで顔を見たり話したりできます。長期間で無ければ、今年の冬限定の対応として最善の方法に思えます。

・最後まで逢えない寂しさは、仕方ないと頭で理解できても心では理解できるものではありません
・対象者の多くは、病院や施設から自宅に帰りたいと思っています
・正直、自宅に戻ったら家族は大変です。しかし逝去後の後悔は確実に減少します
・何年も――、は勧められませんが、数か月なら頑張る意義はあるし、助け合えば頑張れます

『嫁さんの父親』
これは僕自身の話しです。僕の家には何故か嫁さんの父親が同居してました。息子も2人いますが、毎年正月は、おせちを食べに来てた事もあったし、うちの孫達が一番なついてた事もあり、義母が亡くなってから数年後、義父も一緒に住むようになりました。

娘の旦那の家は遠慮もあるでしょうから、気楽に過ごして欲しいと出来るだけ顔を逢わせず――、といっても、元々仕事馬鹿ですから、普通に生活しても顔は逢わせないのですが、80才を過ぎた頃から、少しづつ痴呆の症状が出始め、90才に入ると飼ってた犬を連れて散歩に行ったまま警察に保護されたり、誰かが襲ってくると部屋に包丁を隠したり、糞尿をたれ流したり等々、様々な症状が出てきましたが娘である嫁さんが面倒を看てたので任せておきました。

しかし実の親子ですから遠慮がありません。ボケてると思って話しかけるとまともだったり、まともだと思って話すとボケてたりで、看てる嫁さんの神経がおかしくなりそうな気配を感じ、すぐに施設を探して入所させました。早く気づいた事で嫁さんも普段通りに戻りました。

僕は滅多に行けませんが、嫁さんと息子が時々面会に行くと、嫁さんを奥さんと間違える事はあっても、孫だけは分るそうで「帰りたいよ~」と泣くのだそうです。帰りの車中、息子は何度も涙を流したと言います。気持ちは分りますが、息子は一日中看てる訳ではありません。退院すれば、また嫁さんは以前と同じ生活になる訳で、嫁さんの神経を守るため退院は認めませんでした。

それでも元旦は今まで通り、嫁さんの兄弟家族も一緒に全員で施設に行き、僕が作ったおせちの重箱を広げ、いつもと同じ顔触れで、いつもと同じおせちで正月を2回迎えましたが、3回目の正月を迎えることなく94年の齢で終幕を迎えました。

それでも逝去に立ち会う事も出き、逝去後は自宅の自分の部屋に安置して数日過ごさせてあげられた事が救いとなりました。面会に行けばいつでも逢えるなら問題ありませんが、この冬は今現在でも面会できないでしょうし、存命中に逢うことも出来ないはずです。ならば早い段階で家族で相談し正月を自宅で過ごさせたあげ、自宅で看取りをする選択肢はあるのではないでしょうか・・・

勿論、治癒できる患者は別ですが、人生の終幕を覚悟する対象者なら――、そう思いませんか?

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