どうすれば入り易い店になりますか? あなたはどう答える

今回は『効率的に動く考え方』『一般的な判断の裏に極意あり』です。
美容室の経営指導をしてた時期は頻繁に講演会を依頼され、当然美容室対象が多いですが、元々がスーパー業界出身ですから、食料品など物販店の方々対象もあ、以前、経営コンサルタント(中小企業診断士)の講演会で僕自身がした質問と同様の質問を受けたことがあります。

僕がした質問とは――、
「先生の話しは素晴らしいのでしょうが、僕を始めとして此処にいる人達には理解ができません。活性化を図る事が大事、結果の数値分析が大事など言葉は分るのですが、此処に集まった人達全員が知りたいのは、何を、どうしたら、客数が増え、売上が上がるかの具体策です。申し訳ありませんが、その具体策を教えて頂けないでしょうか」

この瞬間会場は拍手喝采、これを聞いたコンサルタントは暫し言葉が出ません。その後も具体策は出ませんでしたが当然です。この人は自分で経営した経験は無いんです。知ってるのは税理士と労務管理士の知識と、他人が行った成功例で、自分で考え、実践し、成功させた経験はない。これ依頼、経営コンサルタントを信用してません。成功すれば自分の手柄、失敗すれば店主の努力不足、これでは結果が良ければ拝んでてたから、悪ければ拝みが足らないと言う宗教と一緒です。

さて、僕が受けた質問は今回のタイトル、
「お客が入り易い店にするには、どうすれば良いでしょうか?」
この質問は業種によって回答は異なりますが、物販業の方から出た質問です。もし、あなたが質問されたら、どんな答えを出しますか? ・・・・・・・・・・・・

僕の答えはこうでした。
「見るだけで、何も買わなくても出やすい店が、入り易い店です」
皆さん入店ばかり考えますが、間口が広く、開放的な店でも、入った途端に店員が近づき、
「何かお探し物ですか?」
こう言われたら出たくなりませんか? 気安く入れ、気軽に出られる店が『入り易い店です』あとは立地条件等々、加味してレイアウトすれば良いでしょう。

美容室より食品販売が最も得意、店主がやる気満々で行動力と持続力があれば売上を上げる自信はあります。今回は若干話しがそれますから具体策は書きません。

まず『一般的な判断の裏に極意あり』この極意を見つけたのは役員になる前、入社したばかりの営業で先輩に同行している時でした。新規取引先獲得の飛び込みで美容室を周っていると、おばちゃん1人で暇なんだろうなと思う美容室は、お茶やお茶菓子を出してくれ、話しが出来ますが、繁盛店に行くと待ってるお客はいるし、スタッフは全員が忙しなく動いています。先輩営業は、
「こんにちは、あ、お忙しいですね。また後でお邪魔します。失礼しました」
暇な店で話し、忙しい店は全てこの調子、これを当然と思うか、はぁ?と思うか、どっちですか?

僕は理解できませんでした。暇な店で取引してくれても、元が暇なのですから、さほど買いませんけど、忙しい店が取引してくれたら売上を伸ばす伸びしろは沢山あります。同行期間も終わり単独営業する頃は、この地域の一番店だろうな、この店はいつも忙しいと、調査したようなもの、話しが出来なかった店を中心に飛び込みます。

当然、バタバタして話しを聞いて貰える状態ではありませんから、
「こんにちは、あ、忙しいですね。先生!ほうき何処?」
人間とは面白いもので、突然予想外の質問で、どうでも良い事だと素直に答えます
「ほうきなら、そこだけど」
と指をさしてくれるので、ほうきで下に溜まった髪の毛を履いて隅にまとめると、
「また後で寄らせて貰いまーす」
この間わずか2分、何度か続ければ、暇な時や先生の手が空いている時が必ずあります。すると、
「いつも下履きしてくれてるけど、あんた誰? まぁ、お茶でも飲まない」
ここま来れば、半分取引は始まったようなものです。あとは経営者が知りたい事、苦手な事を探り経営者が興味を示す話題を振れば、相手が聞きたがるわけで、その段階になったら――、
「すみません。僕もずっと話してたいですが、他を周らないと店に迷惑が掛かるので失礼します」
そのまま帰る事になったら、また同じ事を繰り返す。でも中には
「今度いつ来るの?」
と言ってくれる事もあり、そんな時は
「ルート営業だから時間が取れた時ですね。配達があれば来週来ますが――、」
これで注文をくれる美容室もあれば、そのままの美容室は最初に戻るだけです。

美容室の経営者が求めるのは『スタッフ教育』苦手なのは『経理』と決まってますから、この両方が得意なら後はさほど難しくはありません。閉店後の講習会を組んで貰い、経営者が言いたい事を代弁したり、欲の深い経営者を諭したり、ようは『うちの店に必要な人間』と思わせれば良いだけです。この点に関しては業界営業のレベルが低かったので簡単でした。

解りやすく言うと大多数の営業は商品説明が主な仕事ですが商品説明はしません。売るのは商品ではなく、自分自身だからです。また商品で売り込んだら、商品がひっくり返されますが、自分だから買ってくれるなら商品に左右されずに済み、メーカーに対しても強気で交渉できます。

このテクニックは飛び込み営業でも通用します。
僕が20才頃だったと思うけど、フルコミッション営業のバイトをした事があります。子供の英語の教材と百科事典でしたが、45年前で20万円でしたから今考えも『たけぇー』と思う。朝10時に出社、朝礼は、昨日の結果報告と売れた人の自慢話の時間、11時過ぎに近くの食堂で飯を食って、本日の行動地域まで移動、県内全域ですから移動時間も掛かります。到着するとマネージャーと呼ばれる人から自分が担当する地域を伝えられると突撃ノックの開始です。

見てると各々得意な家があり、大抵の人は普通の家で専業主婦のお宅に何とか入り込み、子供の将来への不安、自分達がして貰えなかった事など、不安を煽り、英語の必要性を説いて奥さんは何とか説き伏せますが、ご主人の許可が必要、夕飯が済んだ頃に再度伺い説得することになります。

ただ夜伺うと、半数は玄関で断られ、残りの半数は父親との粘り合戦です。初め数人と同行しますが、その時分ったのは、なぜか豪邸は避けて通るのです。単独行動になった時、とりあえず豪邸に入ってみると、上から下まで見られ、広い応接間に通されると豪華なソファーで落ち着きません。結局、相手に飲まれると自分らしさが出せない事に気づきました。

そこで『真っ赤なクラウンをローンで購入』『偽物ですがテルティエのライター』『外国製タバコを持ち』『靴とネクタイはダンヒル』『スーツは安物』を準備、売れなきゃローンすら払えませんから必死です。この必至さが子供の事を真剣に話してると思われ、お金持ちですから、奥さん単独で契約てきるし、まずキャンセルはありません。当然、夜に伺って再度話すこともありません。

ただし教材が届く日は自分も行き、一緒に開封して子供と一緒に遊びます。これは子供がしっかり遊び方を覚えるまで数日続けます。しかし子供は飽きっぽいく1週間~10日後に再度訪れ、新たな遊び方を教えて2日もするとお母さんから、
「ねぇ、武井さん、私の友人も同じ年の子がいるんだけど行ってみる?」
これで売れたも同然、紹介から紹介と続けているだけで全国3位までの経験があります。

みんなが「こんにちはノック」してる間は子供や母親と会い、紹介があれば周ってる地域と関係ない場所に行く、売れてナンボですからマネージャーは何も言いません。ただ、こんな事はいつまでもできませんから、1年したか、しないかだったと思うけど、車のローンは終わりました。

この方法を思いついたのは、直属の上司達が我々に話す時は決まって、
「100軒ノックし、10軒ドアを開けてくれたら良し、そのうち2軒で話しを聞い貰えれば良い、自分の持てる知識を最大限活かし全力で説得し、1軒買ってくれたら上出来だと思え」
これを当たり前のように言いますが、毎日100軒ノックして98軒は断られる。僕ならノック恐怖症になりそうだし、車で家の前に行ったらブレーキでなくアクセル踏みそうです。

嫌な事は我慢しても続きません。そんな地獄のような毎日は無理、それほど芯は強くありませんけど、ようは売れりゃ良い訳で、自分に合った方法は自分で探すしかありません。

最初の入り易い店では『自分ならどうだろうと』考えたら出易い店だと思いました。次のコンサルタントでは、俺がお客ならどんな美容室に行きたいかと考え、更に暇な店でお茶を飲んで世間話しは好きではありませんから、俺自身が真剣に取り組めるとしたら、相手が自分以上に真剣に考えてくれる人なら一緒に頑張れるだろうと予測、そこで毎晩どこかの店で講習か勉強会をする日々、最後の教材は、子供に20万円の物を自分の判断で買えるお母さんってどんな人? そのお母さんが、お父さんを説得し、友人に紹介するには、俺は何をすれば良い――、男性は縦社会が普通ですが、女性は横の繋がりで付き合うから、友人の多くは富裕層だろう予測ができるからです。

これは40数年前ですから、今現在そのまま通用するとは思えませんが、考え方、発想の仕方は参考になるだろうと思います。

タイトルとURLをコピーしました