第十三話 あんしんサポート永代供養墓建立

ぱっく60の新設で散骨される家族が増えました。当時は現地近くで待ち合わせ、家族も一緒に散骨場に行き、家族自身で散骨しましたが、件数が増えると色んな人が出てきます。2014年2月のある日、家族に代わって代行散骨に行くと薄っすらと煙が立ち昇って見えます。
「ん!? あれ煙じゃねぇか?」
近寄った千明が言います
「あ、火の点いた線香が立ってますよ」
「えっ、誰か家族が来たんだろうな――、冬山に線香って常識的に考えるかなぁ!?」
山火事にでもなったら散骨は出来ないし、今まで散骨した家族にも申し訳が立たない。

散骨を終えた帰りの車中どうしたら良いかを話し合います。
「冬山に線香はしゃれにならねぇよなぁ――、どうすっかなぁ」
「これから散骨は増えますかね?」
「間違いなく増えるな」
「だとしたら、今回みたいに代行散骨限定ですかね?」
「だな、ただ後々手を合わせる場所を作ってあげれば良いんじゃねぇかなぁ」
「どういうことですか?」
「線香を供えた人は全散骨だな、散骨場が墓場だから来たわけで、一部手元供養してる人は自宅で手を合わせられるだろ、これをもっと前進させれば代行散骨だけで可能かもな」
「すみません。よく分からないんですけど――、」
「だよな(笑)まず散骨を三択にする」
「① 全散骨 ② 一部手元供養(他散骨) ③ 一部永代供養墓納骨(他散骨)
「永代供養墓ですか?」
「うん、専用の永代供養墓を建て、その中に納骨すれば、いつでも手を合わせられるだろ」
「そうですけど、永代供養墓を建てる場所と、費用も結構掛かりそうですけど・・・」

1時間30分の車中会談で大枠の解決策は見えてきましたが『墓所』と『費用』の問題があります。建てる場所の広さは分りませんが、墓の1坪(1,5m×1,5m)を想定し、費用が抑えられる作りにして図面を書き、幼馴染に来て貰い説明と費用も提示します。コンクリートで枠を作り、薄い石を貼り、規制のドアを取り付け人が入れて、中の棚は湿気に強い既製品を使えば費用は抑えられるはずですが、幼馴染は納得しませんでしたが、
「俺が出せる費用は言った金額だけ、追加無しなら後は全て任せるよ」
「分かった。石の色は何でも良いよな」
「うん、全く問題ないけど拘ると損するぞ(笑)」

次は墓所、問題は万が一、あんしんサポートの存在が無くなっても墓を守って貰えることです。行政の墓に建てる事も考えましたが、本来無い使い方ですから許可が出るまでに数年覚悟する必要がある。なら寺の墓所を無料で借りるのが最善だろうと考えました。但し檀家にならず、寄付も払わず、家族にも違和感の無い墓――、と考えると、お手伝いしてくれる寺の墓所がベストです。

一番多く来て貰ってる寺に行き住職に相談、空いてた1.5m×2mの場所を無償貸与の交渉――、
「あ、ここ空いてるじゃん、うちに貸してくれない?」
「そりゃ良いけど、それってまさか『ただ』じゃないよね?」
「ん、無料だよ」
「代表さぁ、無料の墓なんてねぇよ」
「造るのは1,000柱の永代供養墓、仮に400柱を納骨したら追善供養は何処の寺を使う。ここ以外はあり得ないでしょ? 400軒なら寺がひとつ増えたのと一緒じゃない?」
「なるほど、言われて見れば確かにね。かみさんに相談してみるよ」
その結果、了解を得られ無事無償貸与の墓所に「あんしん一樹の陰」建立となったのです。

考えたことも無い永代供養墓を真剣に考え、現状の墓地や永代供養墓の問題点を調べ考えました。
・少子化により墓守不在が増え、無縁墓が増えている
・公営墓地は年会費だけなのに、寺墓地は事ある毎に金を取られ、多額の寄付を要求される
・今の墓は墓守がいないと入れないから墓閉じさせられるけど――、
・寺の墓を閉じて永代供養墓に移転は、2回墓を買う事になり、最初の使用権料金は返さない
・誰でもいつか墓参りに行けなくなる
・転勤族にとって墓は足枷(あしかせ)になる

『これからの時代に適した墓の在り方を考えてみる』
・自分達の代だけ利用できる墓が望ましい(最大三十三回忌まで納骨で良い)
・年会費は当然としても寄付の強要は時代錯誤も甚だしいから檀家にはならない
・墓参りに行けなくなったら自宅手元供養に切り替えられるのが理想
・墓から出した遺骨を「手元供養」か「散骨」なら改葬手続不要の現実を活かしたい
・地下墓地は真っ暗、多湿、虫が這う訳で、地上の納骨堂がいい
・手元供養、転居先に持って行くなら10cm角程度の容器に粉骨納骨がベスト

墓には僕の言葉で恐縮ですが次の詩が彫られています。

『あんしん一樹の陰』
見知らぬ者同士が 偶然一本の木に寄り添う 是、偶然で無く 前世からの縁(えにし)なり 心穏やかにて、心安らかなる眠りをと祈る

》墓参は1年中いつでもできる
》好きな時に出して手元供養できる10cm角の専用容器に密封袋の粉骨と火葬証明書も入れる
》納骨する棚は年別に分類、三十三回忌も棚で分る
》転居、年老いて墓参りできない等、いつでも出せる(出して持って来る費用5,000円)
》三十三回忌が過ぎたら全て当方散骨場に撒く(無料)
》次世代に迷惑掛けることなく、足かせにならず、自分達の代だけ使える墓が持てる
》万が一、あんしんサポートが閉鎖されても、遺骨は寺が守ってくれる(すでに次期住職がいる)
》彼岸、盆、命日など自分が行けない時でも他の家族が線香や花を供えてくれる
》檀家にならず、寺への年会費や寄付類は一切ない

※ 4年間は完全無償でしたが、今では墓所で一番墓参り数が多い為、1軒2,000円の年会費徴収
 (水道も使うし、墓所雑草取り、枯れた花の処分などして貰っている為です)
 
あんしん一樹の陰は、初めから考えて建立した訳でなく、散骨場に線香を供えた非常識な家族の行動を反面教師として建立でしたが、他に類をみない日本初の未来型の永代供養墓です。我が人生を振り返ると、誰かの真似でなく反面教師に学ぶのが常です。今回の永代供養墓に限らず、利用者の本音から生まれたものは多くの場合評価を得られますが、これを隠そうと思った事はなく、全国全県で真似してくれたら、その地域の人達は助かる――、そんな輪が広がってくれたら何よりです。

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